カナダのコミュニティー・カレッジ(コミカレ)付属の語学コースは、日本でいうところの短大や専門学校に付属した語学コースに近い存在です。
一般に、英語力が合格基準に満たない留学生は、この語学コースで学んで規定の成績で終了することで、コミカレの正規学部に入学することができます。
カナダの語学コースは、ESL(English as a Second Language)プログラムと呼ばれることが多いです。
コミカレのESLは、一学期が三ヶ月前後になります。これは正規学部と同じ日程で始業して終業するためです。また、授業内容は非常にアカデミックなものとなっています。
語学コースの内容については各コミカレで異なりますので一概には言えませんが、一番シンプルな構成でいうと下記のようになります。
・レベル1~2(初級レベル): 文法と英会話が中心。簡単なリーディングや単語レッスンなど。
・レベル3~4(中級レベル): 文法、リーディング、ヒアリング、小エッセイなど。
・レベル5~6(上級レベル): リーディング、プレゼンテーション、ディベート、エッセイ、リサーチペーパー、カレッジ入学準備など。
レベルが上がるごとに、よりアカデミックになり、正規学部で必要になるスキルを身につけられるような構成になっています。
各学生のレベルを判断するテストは入学前に実施されます。このテストによって、どのレベルが適しているのか判断されて、そのレベルのクラスからスタートすることになります。
必ずしもレベル1からスタートするというわけではなく、日本人学生の多くはレベル2~3くらいからスタートすることが多いと思います。自分で入学テストに備えて勉強をしてきた人や短大や専門学校の英文科に通っていた学生は、レベル4~5くらいからスタートする人もいます。
カナダのコミカレの利点の一つは、語学コースを終了した後に、正規学部への移行が簡単になることです。
これはエスカレーター方式とも言われ、語学コースを修了することで、英語試験免除で正規学部の入学が許されます。
多くのコミカレでは語学コースを既定の成績以上で終了することで、入学に必要な英語基準をクリアしたと認めてくれるのです。
しかし、すべてのコミカレまたは学部でエスカレーター方式が実施されているわけではないので、事前の確認が必要です。高校の成績が考慮される場合などは、語学コース終了が必ずしも入学許可につながらないケースもあります。
ESLプログラムの上級クラスでは、コミカレの正規学部の講義についていけるように、リスニングの強化やノートの取り方(単語を短縮して暗号のように書く方法など)を学んだりもします。
コミカレの学部コースに徐々に慣れるように、英語の負担が比較的少ない数学や物理などを受講させてもらえることもあります。数学や物理はコミカレの正規学部の科目ですので、当然、単位も得ることができます。
このように、単に英語の上達を目指したコースではなく、正規学部予備コースともいえるものです。
カナダのコミカレは公立が多く、州政府の管轄の下、それなりの規模と定められた制度の中で運営をしています。
個々の学生によって好き嫌いはありますが、私立の語学学校に比べると、先生の資格や語学コースの基準が明確で、学びやすい環境に整えられていることが多いです。
将来、コミカレの正規学部で学びたいと思っている場合は、コミカレのESLプログラムを選択することで、分かりやすいステップを踏みながら卒業や資格取得を目指すことができると思います。