プリンス・エドワード・アイランド大学(UPEI)は、カナダの東部にあるプリンス・エドワード島にある小さな大学です。
プリンス・エドワード島は、有名な小説「赤毛のアン」の舞台であり、毎年ツアーが組まれるなど日本人観光客がたくさん訪れています。そんな縁からこの地への留学に興味を持つ方もいるのではないでしょうか。
プリンスエドワードアイランド大学の基本情報
プリンス・エドワード・アイランド大学(University of Prince Edward Island)は、プリンス・エドワード・アイランド州の州都「シャーロットタウン」にあります。
1969年に創立した小規模な大学です。1800年代に作られた2つの大学がルーツとなっており、それらの大学が元となりプリンス・エドワード・アイランド大学(UPEI)が創立されたので、実際の歴史はもっと長いです。
学生数は4400人ほどです(2017年)。カナダ東部の大西洋に面するノバスコシア州やニューブランズウィック州でも学生数が少ない大学がいくつもありますので、この地域ではそれほど珍しくはないかもしれません。
留学生は1200人近くいるそうで、留学生の占める割合が大きいです。日本の大学との国際交流も盛んで、千葉大学 / 法政大学 / 鹿児島国際大学 / 明治学院大学 / 創価大学 / 西南学院大学 / 筑波大学 / 早稲田大学 / 横浜国立大学といった大学と提携があります(2018年度)。
余談ですが、中国の25大学と提携があるようで、昨今は、どこにいっても中国の進出が強力ですね。
雑誌Maclean’sによる大学ランキング(2018年)では、規模の小さい大学を対象にしたランキングで10位でした。
大学のあるプリンス・エドワード・アイランドは、カナダ東部の外れの方にあり、大きな橋一本だけでカナダ本土と繋がれた島です(航空機とフェリーでも行けます)。漁業と農業が盛んで、郊外に出ればジャガイモ畑が広がるのどかな州です。
プリンス・エドワード・アイランド州は、カナダでは一番小さな州です。州の人口は14万人くらいです。ちなみに西部のブリティッシュ・コロンビア州の人口は、460万人くらいです(2016年度)。一つの州として考えると人口は少ないですね。
州都であるシャーロットタウンの人口は4万人弱で、周辺地域を含むと7万人(州人口の半分)ぐらいの人たちが住んでいます。
プリンスエドワード島の美しい景色や街並みを紹介した動画↓
プリンスエドワードアイランド大学の学士と修士コース
UPEIには、大きく分けて、文学、理学、ビジネス、教育、看護、獣医学の6つの学部から構成されています。
学士コース:アカディア学、人類学、コミュニケーション・リーダーシップ・カルチャー学、アジア学、カナダ学、宗教学、多様性社会公正学、経済学、英語、環境学、美術、フランス語、ドイツ語、歴史、国際学、ジャーナリズム、現代語学、音楽、哲学、政治学、心理学、社会学、スペイン語、会計学、起業学、財務学、国際ビジネス学、マーケティング学、組織マネージメント学、ツアーリズム・ホスピタリティ学、教育学、看護学、生物学、バイオテクノロジー学、化学、数学・計算科学、コンピューターサイエンス、工学、食品・栄養学、運動生理学、物理学、心理学、サステイナブル・デザイン・エンジニアリング学、野生生物保全学、 獣医学など。
修士コース:応用医療リサーチ、分子・高分子学、環境学、サステイナブル・デザイン・エンジニアリング学、アイランド・スタディ、看護学、獣医学、ビジネス(MBA)など。
こちらでは、大まかな専攻を記載していますが、一つの学士や修士コース内で更に専門性の高い分野を選択するコースもあります。
プリンス・エドワード・アイランド大学の紹介動画↓
特徴あるコース
こちらの大学は、昨今、大学ランキングで評価されるようなお金をかけたイノベーションや革新的なプロジェクトということからは少々違う路線で、最新の設備を備えながらも、良い意味で地道な教育を行っているように思います。
プリンス・エドワード・アイランドという島に大学があり、その島の特性を生かしたコースにも特徴があります。
ひとつはアイランド・スタディという、小さな島の観光、エコロジー、文化や環境保全、政治、歴史などを学ぶといったコースがあります。アイランド・スタディは学士と修士のコースがあります。
ビジネス学部でも、ツアーリズム・ホスピタリティのコースが用意されており、多くの観光客が訪れるプリンスエドワード島の利点を生かしているようです。
教育学部にも力を入れており、学士、修士、博士号までのコースが用意されています。赤毛のアンにどうしてもつなげてしまいますが、教師になる人が多いのかなと思ってしまいます^^;
サイエンス系では、環境やサステイナビリティをはじめ、200ほどの理学系コースが提供されています。
サスティナブル・デザイン・エンジニアリングは、昨今注目されている環境と資源の持続性を考えながら、製造や問題への解決を図っていく方法を学ぶコースです。講義もありますが、3~4年時はプロジェクトをこなして実践力をつける実地的なコースが多いそうです。
アクチュアリー・サイエンス(保険数理)は、カナダでは12の大学でしか提供されていないコースです。保険・年金・医療などにおいて正確な数理が求められる実務プロフェッショナルを育成するコースです。カナダでは、失業率0%といわれるほど求められいる職業です。
サスティナブル・デザイン・エンジニアリングの施設を紹介した動画↓
UPEIに通うための学費&生活費
大学1年生の9月~4月までの授業料(30単位分)と必要費用の一例をご紹介します。こちらの試算は2015~2016年のものです。学費等は年々値上がりしていますので、最新の費用は大学のホームページで確認してください。
・授業料:$12,312
・サポート・補助費:$1,648
・学生寮費(部屋と食事込):$8,726 – $10,722
・書籍・必要品費:$1,000 – $1,500
・雑費:$118
総合計:$23,804 – $26,300
1カナダドル=90円で計算すると約214万円~237万円が年間(9月~4月)に必要になります。この他に、保険、学生自治費、施設使用料、個人の日用品や余暇などの費用が必要になります。
UPEIの入学資格と入学に必要なTOEFLなどの英語力
プリンス・エドワード・アイランド大学への入学条件は、高校卒業(成績は5段階レベルで3以上)に加え、大学入学基準をパスする英語テスト結果(TOEFLなど)が必要です。こちらの大学では、英検の結果でも申込可能です。
英語テストで必要なスコアは下記のとおりです(いずれか一つで可):
・TOEFL iBTのスコアが80以上(各セクションのスコアが20以下ではないこと)
・IELTSのスコアが6.5以上(ライティングは6.5、その他セクションのスコアが6.0以下ではないこと)
・Eiken:Pre-1
※看護学部と獣医学部はさらに高いスコアが要求されます。
その他、MELAB、CanTEST、CAEL、Pearson Test of English、Cambridge Advanced Englishなどでもテスト結果の提出ができます。
英語力が足りないときは、大学付属の語学コースEnglish Academic Preparationを終了することが求められます。
UPEI付属の語学コース
プリンス・エドワード・アイランド大学には、English Academic Preparation (EAP)という語学コースがあります。
EAPはレベル1~7に分かれています。各コースの1学期は、通常、14週間です。
EAPはレベル1~5、EAPブリッジングはレベル6~7にあたります。EAPブリッジングでは、EAPの英語に加えて、正規学部のコースも一部選択できるようになります。
どれくらいのレベルかという基準ですが、EAPのレベル5は、TOEFL iBT:32-34に該当します。EAPレベル6が35~59、レベル7が60~78です。
入学後のテストでクラス分けが行われます。EAPに通う際には、大学到着後にEAPオフィスに行き、英語テストの予約をしてください。
テストは、下記の4つのセクションに分かれいます(2018年度)。テストは2.5~3時間ほどかかります。
・リスニング:30分
・リーディング:50分
・ライティング・エッセイ:60分
・スピーキング(対面インタービュー形式):10分
テストは、 非公式のCanTESTを採用しています。テスト形式や模擬問題は、CanTESTのサイトで確認してください。
日本の高校英語や大学受験とは異なってきますので、TOEFLといった主要な英語テストに加えて、udemyなどであらかじめ準備しておくことをおすすめします。
UPEIの宿泊施設
プリンスエドワードアイランド大学には、3つの学生寮があり440人ほどが滞在できるようになっています。
学生寮の一つであるBernardine Hallの寮費を一例にご紹介します(2017-2018年度)。寮費とミールプラン(朝昼晩の食事付)がセットになっています。
シングル・ルーム+週5日のミールプラン:$5,195/1学期
シングル・ルーム+週7日のミールプラン:$5,280/1学期
ダブル・ルーム+週5日のミールプラン:$4,535/1学期
ダブル・ルーム++週7日のミールプラン:$4,620/1学期
Bernardine HallとBill and Denise Andrew Hallは、ミールプランの購入は必須になります。Blanchard Hallでは、ミールプランはオプションで購入しなくてもOKです。
学生寮(Bill and Denise Andrew Hallの1人部屋)の簡単な紹介動画↓
プリンスエドワードアイランド州のシャーロットタウンへのアクセス
プリンスエドワードアイランド大学のあるシャーロットタウンには空港がありますので、アクセスしやすいところだと思います。
東京(成田・羽田)からは、トロント・ピアソン国際空港(オンタリオ州)、または、ピエール・エリオット・トルドー国際空港(モントリオール州)へ行って、そこからシャーロットタウン空港行きの便に乗換えることができます。
乗換え回数が増えますが、アメリカ経由や韓国(インチョン)経由でも可能です。アメリカ経由では、アメリカとカナダの両方で入国審査がありますのでちょっと大変です。
シーズンにより便数の増減があり、スケジュールや路線が変更になることがありますので、予定が決まったら早めに楽天トラベルやJTBなどで航空券を探してみてください。
日本とカナダをつなげる「赤毛のアン」
プリンス・エドワード・アイランドが舞台となる「赤毛のアン」(Anne of Green Gables)は、大人から子供までが楽しめる有名な小説です。世界中で読まれている小説の上、アニメや映画にもなっており、それらをきっかけにしてカナダに興味を持ったという人がきっとたくさんいると思います。
赤毛のアンの日本語訳をした翻訳家・村岡花子さんの半生をドラマにしたNHK連続テレビ小説「花子とアン」の影響も大きかったのではないでしょうか。このテレビ小説では、吉高由里子さんが主役を演じました。
村岡花子さんは、女学校時代にカナダ人宣教師から英語を習ったそうです。また、別のカナダ人宣教師(LORETTA LEONARD SHAWさん)からAnne of Green Gablesの本を贈られたことをきっかけにして、その後、1952年にその本を翻訳・出版することになります。
「赤毛のアン」や「花子とアン」をきっかけにして、プリンス・エドワード・アイランドを周遊する観光ツアーは人気があり、毎年、多くの日本人が訪れているそうです。一つの小説を元に、これだけの影響力を及ぼしていることは、素晴らしいことです。
カナダではイベントがある度に特集で放映されていて、つい何度も見てしまったドラマ、Anne of Green Gables(赤毛のアン)の予告編動画↓
最後に・・・
プリンス・エドワード・アイランドはとても美しいところで、観光地として一度は訪れたいところです。
「赤毛のアン」に影響されて、自分も小説やテレビドラマのような生活をプリンス・エドワード・アイランドでしてみたいと思うことがあるかもしれません。
小説や映画がきっかけで人生を大きく変えることがありますが、観光と留学のどちらを優先するのか、また、両方を可能にできるかなどよく考えてみてください。
有名な大学が揃っているトロントやオタワ、アメリカのニューヨークやマサチューセッツなどで大学に通いながらでも、週末を利用してプリンス・エドワード・アイランドに行くことが可能だと思います。
留学して将来どんな仕事や生活がしたいのか、大学の中身もしっかり調べたうえで選んでください。
参照・資料元のリンク
・プリンス・エドワード・アイランド大学(UPEI)
・English Academic Preparation:UPEIの語学コースと大学準備コース
・Canada’s top Primarily Undergraduate schools:Maclean’sによる大学ランキング
・University of Prince Edward Island expands global reach:UPEI学長のスピーチ
・シャーロットタウン空港:プリンス・エドワード・アイランド大学近くの空港
・花子とアン:翻訳者・村岡花子さんの半生記をドラマにしたNHK連続テレビ小説
・SHAW, LORETTA LEONARD:翻訳家・村岡花子さんに小説を贈ったカナダの宣教師
・アンという名の少女:赤毛のアンを基にしたカナダCBCのテレビドラマ。日本ではNetflixで配信
・welcome PEI:プリンス・エドワード・アイランドの観光情報サイト
・JTB:プリンスエドワード島や赤毛のアン観光のツアーの予約ができる
・discovercharlottetown:プリンス・エドワード島とシャーロットタウンのインスタグラム
・Holland College:プリンス・エドワード・アイランドにあるコミュニティ・カレッジ
・Study Abroad Canada Language Institute:プリンス・エドワード・アイランドにある語学学校(日本語案内あり)
※大学のコース概要、スケジュールや費用等は、変更になる場合があります。最新情報は、大学のホームページにて入手してください。