カナダとアメリカの国境付近では慎重に行動しよう

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カナダとアメリカの国境付近では慎重に行動すること

カナダとアメリカの国境について、しっかり理解しておかないと国境警備隊や警察などに拘束されることがあります。

2022年、カナダ留学していた日本人学生が、アメリカの入国管理局を通過せずに違法に国境を越えアメリカに入ってしまい、アメリカで拘束されたというニュースがありました。

この学生さんは、パスポートなどの身分証明書を持っていなかったようで、拘束されたアメリカからカナダに戻ることはできず、日本に送り返されたとのことです。(~まいどなニュースより~)

カナダにいた日本人留学生…なぜかアメリカで拘束されていた 理由に驚く人続出「日本人には理解し難い罠」「地元の人どうしてるんだ?」|まいどなニュース
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カナダとアメリカは別の国、国境は遵守すること

カナダとアメリカの間には、主要な道路以外にも行き来できてしまうところが多数あります。

アメリカに通じる小道があったり、住宅の裏庭の柵を越えたらアメリカだったり、森の中を通り抜けたり、冬であれば凍った川や湖を渡って越境できてしまうところもあります。

以下の動画は、カナダとアメリカの国境にある街を紹介したものです。道路のセンターラインが国境であるため、道の片側がカナダで、反対側がアメリカというユニークなタウンです。

以前は、ローカルの人達であれば、この道の両側を比較的自由に行き来ができたそうですが、9.11(アメリカ同時多発テロ事件)以降、国境管理が厳しくなって自由がなくなったそうです。

のどかな街ですが、各所に隠しカメラやセンサーなどが設置されているそうです。

次の動画も、同じ街の紹介動画です。センターラインで隔てられた国境というのは、アメリカやカナダでも珍しく、Youtubeでもそこそこ取り上げられています。

道路が国境というのは、海に囲まれた日本では想像しにくいかもしれません。しかし、安易に越えてはいけないことは理解しておきたいです。

 

カナダとアメリカの国境を越えるのは簡単?

カナダとアメリカの国境は約8800kmもあり、そのすべてが壁やフェンスで囲まれているわけではありません。

場所によっては徒歩で簡単に渡れてしまうほど簡単です。簡単ですが、違法ですからやってはいけません。

下記のグーグルマップは、中央(北側)の道がカナダ、右側の少し細い道がアメリカ側になります。

※画像が映らない場合は、こちらのリンク(Googleマップ)を参照してください。

カナダではどこにでもあるような光景ですが、実際は国境に接していてますので、遊び半分でそれを越えて「アメリカに来たぜ!」とSNSのために写真を取っていたら、警察や国境警備隊に捕まってしまうということもありえます。

 

厳しくなった国境のルールや警備

一昔前は、カナダ人やアメリカ人は気軽に国境をそれぞれ越えることができた時代がありました。

しかし、9.11(アメリカ同時多発テロ事件)によって、国境の警備が厳しくなりました。それ以降も、南米やアフリカでの紛争や貧困による国外脱出、アジアから富を求めてアメリカにやってくるなど、正規ではない方法で国境突破をする人たちが増えて、国境警備はさらに厳重になっているようです。

アメリカ南部の国境では、南米からアメリカへの移住を求めている人たちで溢れている光景がよくニュースになります。

正規・不正規のどちらもアメリカへ入国することが難しくなっているため、近年はカナダを経由してアメリカに入るというルートが使われるようになってきたこともカナダ・アメリカ国境の警備が厳しくなった理由です。

また、アメリカにいる不法移民や難民申請をしている人たちが、カナダへ移住を求めて国境を越えるケースも増えています。

アメリカではたくさんの難民や不法移民の問題を抱えていますが、海外からアメリカに来たものの、仕事もなく住むところもないという厳しい環境から抜け出すために、カナダへ入国しようとする人達がたくさんいるそうです。

アメリカに比べると、カナダの方が人道的な移民政策を取っているとよく言われますが、「カナダの方が移住や難民申請がしやすい」という話がSNSで広がったことが、アメリカからカナダを目指す人たちが増えた原因のひとつのようです。

移民や難民の移動だけではなく、元々、国境には違法薬物などの密輸という犯罪組織の動きもあります。

遊び半分で不法にアメリカに入ってしまったとしても、犯罪目的があると疑われれば長い間拘束される可能性もあります。

カナダとアメリカの国境を取り巻く環境は複雑なため、国境問題をしっかり理解して、カナダからアメリカへ行くとき、またその逆でも、国境では慎重に行動してほしいと思います。

動画:違法にカナダとアメリカの国境を越える人たちの実態(NBC NEWS)↓

 

知識が乏しいカナダ人や留学生仲間に従わない

前出のニュースで日本人学生がアメリカで拘束された話では、友人が一緒にいたそうです。

そこで私が思い出したのは、カナダ留学中にカナダ人とルーマニア人の友人たちと車旅をしたときのことです。このとき、私はルール違反でアメリカ国境を越えさせられそうになりました。

旅行の過程でバンクーバーに来たのですが、そこで少し足を伸ばしてアメリカに行こうということになりました。

カナダ人の友人は、アメリカの国境検問は面倒だから俺に任せろ!と言って、まずは、私にカナダ人のふりをするように言ってきました。

私は「俺は日本人だから、そんなのはすぐにバレる」と言ったのですが、彼は「大丈夫、君はこっちに長く住んでいて英語もカナダ人と変わらない。日系カナダ人で通る!」と強気でした。

私は入国審査で日本のパスポート出すよと言ったのですが、色々面倒になるから俺の言う通りにしてくれと、カナダ人の友人は聞き入れる様子がありませんでした。

アメリカの国境検問所に来たとき、入国審査官が「全員カナダ人ですか?」と聞いてきました。カナダ人の友人は、計画通り「YES」と返事をしてしまいました。

入国審査官が事務的に「全員のID(身分証明書)または運転免許証を提示してください」と言ってきました。

友人二人が運転免許証を出している状況で、私は二人と同じように免許証を出すか一瞬迷いましたが、パスポートを出しました。

すぐに入国審査官の表情が曇って、「全員カナダ人だと言ったのに、日本のパスポート出しているのが一人いるじゃないか。どういうことだ!」と非常に圧のある話し方になってきました。

カナダ人の友人は、「彼はカナダの大学に通っていて、学生ビザも保持しているので、正規の方法でカナダに住んでいる住人という広い意味でYESと言いました」と苦しい弁明をしていました。

普通であればドライブスルーの国境検問で、IDチェック程度で通れるはずだったのですが、私達全員、移民局のオフィスに来るように言われてしまいました。国際空港でいうところの特別室送りというやつです。

私達3人は別々に事情を聞かれ、正直にパスポートを出したおかげかは分かりませんが、私は簡単な質問を2~3受けただけで終わりました。

しかし、カナダ人とルーマニア人の友人はなかなか出てこず、やっと出てきたとき、カナダ人の友人はかなり不機嫌で、ルーマニア人の友人は憔悴している感じでした。

ルーマニア人の友人は、実はカナダに難民として入国していて、カナダでの身分というか移民状況に関して色々質問されていました。アメリカに移住目的で入国したり、不法滞在する可能性がないか尋問されたようでした。

カナダ人の友人の方は、何を聞かれたのか細かい話はありませんでしたが、「君のせいで、ひどい目に遭った」と怒りまくっていました。また、ルーマニア人の友人を危険に晒した(不法移民として扱われそうになった)と言って、更に私を責めてきました。

私としては、「いやいや、それはおかしいでしょう」と言って、私は正規の方法でパスポートを提示しただけであって、何も間違ったことはしていない!と私の置かれている立場を説明しましたが、余り理解できていないようでした。

日本人が他国に住む、そして、そこから別の国に行くのにパスポートが当然必要であるということが理解できない、この認識の差は簡単に縮まらないと思い、それ以上は言いませんでした。

その後の旅は、非常に気まずくなったのはよく覚えています。

もし、私がカナダ人の友人の言われた通りカナダ人のふりをして、パスポートではなくカナダの運転免許証を出してアメリカに入国しようとしていたらどうなったか?彼の言う通り、三人ともカナダ人の扱いになって、簡単に入国できたかもしれません。

でも、もしバレてしまったら、嘘をついて入国しようとした処罰やペナリティーなどが課せられるので、正直、ぞっとします。そこまでのリスクを負って、アメリカに遊びに行く必要は全くありませんでした。

さらに、アメリカからカナダに戻るときは、私の個人情報はカナダ移民局に留学生として登録されているので、運転免許証でカナダに入国することはできなかったと思います。パスポートを提示した場合、いつカナダを出国したのか記録がないことになり不正を見抜かれたかもしれません。運よく入国できた可能性もゼロではありませんが、不要なリスクがありすぎでした。

 

間違った情報に惑わされない

アメリカとカナダは友好関係があり、人や物資の行き来も盛んで、現地のカナダ人の中には、国境をそれほど危険と考えていない人たちがいます。

カナダ人や留学生仲間に間違った方法や知識を押し付けられたり、酷いケースでは騙されてしまうこともあるかもしれません。

友人などから誤った情報を伝えられて、違法にアメリカに足を踏み入れて捕まってしまったら、とても悔しいでしょう。アメリカの移民局の対応は厳しいという話が多々あり、犯罪者扱いで惨めな思いをしてしまうかもしれません。

国境沿いには、国境警備隊や警察が巡回していますし、監視カメラがあったり、近隣の住民からの通報もあります。安易に近づいたり、不用意にアメリカ側に入って写真を取ったり、その付近で遊ぼうなどと考えないことです。

不要なトラブルに巻き込まれないように、国境を甘く考えない、国境ではパスポートを携帯して国境検問や移民局では適切に提示すること、その他必要書類があれば予め用意しておくことを忘れないでください。

 

※体験談の中でアメリカ入国の際に運転免許証を提示する話をしましたが、現在、カナダ人であっても、普通の免許証ではなくアメリカ入国審査で使えるエンヘンスド・ドライバーズライセンス(Enhanced Driver’s License)やエンヘンスドIDカード(Enhanced Identification Card)、パスポート、NEXUSカードなどのいずれかが必要になっています。

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