カナダで学費が安い大学はあるの?

NEWFOUNDLAND カナダの大学

カナダの大学が安いと言われたのは一昔前の話で、留学生の増加などによって、大学の学費がどんどん上がっています。

留学生に人気の都市「バンクーバー」のあるブリティッシュ・コロンビア州、そして、カナダ最大の都市「トロント」のあるオンタリオ州では、上昇する学費が留学生の大きな負担になってきていると思います。

それだけの費用負担をしても、行く価値のある大学はあるわけですが、日本人学生の場合は、アメリカ留学の方が人気が高いですし、日本での就職を考えれば国内の大学の方が有利なので、カナダの大学留学には厳しい状況になってくるかもしれません。

とはいえ、人気の都市や大学を避ければ、地域によっては、値上がり幅が少なく、まだ通いやすい大学はあります。また、為替レートにもよりますが、カナダにはまだ年間の学費が100万円以下で行ける大学があります。

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授業料が安い大学を探す方法

カナダの大学の学費は、州の政策や税金にも影響を受けますが、特に留学生に人気のあるブリティッシュ・コロンビア州やオンタリオ州が高い傾向にあります。

そこで、この2つの州を除いて、マニトバ州やニューファンドランド・ラブラドール州などに目を向けてみると授業料は安くなることがあります。

留学生にとって今まではあまり人気のなかった州では、近年、バンクーバーやトロントを避けるように、留学生流入が増えているそうです。

留学生に人気が出始めると、たくさんの学生を受け入れるために校舎や学生寮を建てたり、新たなスタッフを雇うなどコストが大きくなります。そして、大学側の財政が一時的に厳しくなりますので、授業料が上がってくることもあります。

授業料が安い大学を見つけるには、留学生に余り人気のない大学を探すというのも一つの方法なのですが、留学生が少ない大学は、受入れ体制が整っていないことがあり、トラブルになることもあります。留学生が多くても少なくても問題があって、難しいところです。

宗教系の大学も学費が安いところがあります。宗教や信仰が関わってきますので、誰にでもおすすめできるわけではありませんが、興味があればそういった選択肢もあります。

日本の大学では、キリスト教系、または、ミッション系大学=おしゃれな大学(国際基督教大学青山学院大学など)というイメージがあるかもしれませんが、日本は独特だと思いますので、同じ感覚で考えない方がよいと思います。

学費の安い大学へ行く前に考えること

人気の都市や評価の高い大学を避ければ、学費の安い大学はあります。基本、主要都市から離れた地方の大学になります。

日本でもよく言われますが、名もない地方の大学に行っても、卒業後に希望する職につけないといった厳しさがあり、学資ローンなどの支払いが難しくなる可能性があります。

それよりも、専門学校に行った方が就職しやすいケースが多々あり、日本と同様に、カナダでも専門技術が学べるコミカレの方が期待が持てる、または、費用対効果が高いことがあります。

せっかく実力や才能があるのに、どうせカナダの大学なんて日本では知られていないからと思って、学費が安いという観点だけで大学を選んでしまうのは少し考えたいものです。自分では気がついていないポテンシャルが、優れた大学に行くことによって引き出されることもあります。

為替レートによって変わる学費

留学は為替レートに大きく影響されます。カナダドルは、2015年には1カナダドルが100円を超えていた時期がありましたが、2016年には1カナダドル=75円くらいの時がありました。2017~2018年は、1カナダドルが80円台で上下しています。

カナダの大学に留学するのに年25,000ドルが必要なとき、1カナダドル=100円では250万円ですが、1カナダドル=75円では187万5千円というように大きな開きが生じます。

為替レートは、留学する時期によって異なってきますので、一概に学費が高い安いと表現するのが難しいことがあります。

学費の安いカナダの大学をピックアップ

以下では、学費が比較的安いと言われているカナダの大学3校をピックアップしてみました。どれくらいの費用がかかるのか、どんな大学なのか、その他、入学に必要な英語力などを取り上げています。

費用については、大学の出費で最もウエイトのある授業料と学生寮費を中心に掲載しています。学科によっても費用は異なってきますが、基本、文系コースの一般的な試算です。理系や工学系、ビジネスやコンピューター系は、学費が上がることがあります。

大まかな試算で、申込手数料、学生サポート料、レクリエーション費、大学施設利用料、学生寮の保証金など細かい費用は含まれてません。また、渡航費、余暇や生活必要品などにかかってくる出費については、個人によって異なるため計算に入れていませんのでご了承ください。

★BRANDON UNIVERSITY(ブランドン大学)

ブランドン大学(ブランデン大学)は、マニトバ州ブランドンにある大学です。ブランドンは、マニトバ大学のあるウィニペグ(マニトバ州都)から西へ約220km行ったところにある人口5万人ほどの都市です。

元々は、バプテスト系(キリスト教の一教派)のカレッジとして設立されましたが、現在はリベラルアーツ系の大学として知られているようです。

学生数は3000人ほどで、同じ州にあるマニトバ大学の学生が3万人、隣のアルバータ州にあるアルバータ大学の学生が4万人と比べると、かなり小さい大学です。それ故に、クラスの規模が小さく、教授一人が担当する学生数が少ないことから、丁寧な指導を行う大学として評価されています。

人文学、教育学、理学、看護学、音楽の主要学部があり、特に音楽については高い評価があります。

学士コースとしては、人類学、ビジネス、言語学、演劇、経済、英語、女性学、歴史、先住民学、哲学、政治学、宗教学、地方僻地開発学、社会学、芸術学、災害危機管理学、生物学、化学、環境学、地理学、地質学、数学、コンピューターサイエンス、物理学、天文学、心理学、看護学、精神科介護学、メンタルヘルス学などが提供されています。

修士コースは少ないですが、音楽を始め、教育学、精神科介護学、環境&生命科学などで提供されています。

留学生が通うために必要な年間費用は、大学の試算では20,000カナダドルほどになるそうですが、ホームページでは細かい内訳は出ていませんでした。

ただ、2018年度の学費が8141ドル(2学期分)、学生寮と学食費が6912ドル(二人部屋/バリュープランの食事付/2学期分)として、教科書代、申込料、保険料などを加えて試算すると大体20,000ドルになると思います(20,000ドル=172万円、1カナダドル=86円のとき)。

正規学部入学には、基本、高校卒業と大学が指定する英語テストの成績が必要になります。詳細は大学または留学生課に確認してください。

代表的な英語テストで必要なスコアは下記のとおりです(いずれか一つで可):

・TOEFL iBTのスコアが80以上(各セクションのスコアが20以上であること)

・IELTS (Academic) のスコアが6.5以上(各セクションのスコアが6.5以上であること)

ブランドン大学には、English for Academic Purposesという大学附属の語学コースがあります。レベル1~4までのクラスがあり、レベル4を規定の成績で終了することで、大学入学に必要な英語基準を満たしたことになります。1年に3学期あり、学費は1学期3500ドル(2018年度)になります。

ブランドン大学のキャンパスを映した動画↓

 

★CANADIAN MENNONITE UNIVERSITY(カナディアン・メノナイト大学)

カナディアン・メノナイト大学(CMU)は、マニトバ州ウィニペグにある大学です。3つのキリスト教系カレッジが統合して、2000年に創設された新しい大学です。

大学名にあるメノナイトとは、キリスト教アナバプテストの教派に関連しています。この大学を選ぶのであれば、どんな教派なのか詳しく知っておいた方がよいでしょう(参考資料:ウィキペディア)。

学生の80%がキリスト教の教派に属していたり宗教的なバックグラウンドを持っており、残り20%の学生は宗教や教会とは関係のない学生だそうです(参照:About CMU)。

学生の75%が地元マニトバ州出身ということで、ローカル系と宗教色が強い印象があります。大学では多様性を求めており、地元以外からの学生を歓迎しているそうですが、外部から入っていくにはちょっと勇気がいるかもしれません。

人文学、音楽、サイエンス、ビジネスなど20近くの学士コースが提供されています。聖書や神学を学ぶコースが複数があり、すべての学生は一定の単位が卒業に必要になります。

留学生の1年間(2学期)の授業料は、$10,785です(2018-2019年度)。1カナダドルを86円とすると、927,510円になります。

留学生がカナディアン・メノナイト大学に通うために必要な費用は以下のとおりです(2018-2019年度試算)。

授業料(2学期分):10,785ドル

教科書類&手数料など:2,500ドル

学生寮費:6,454ドル (二人部屋、食事プラン付の一例)

個人支出:500ドル
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合計:20,239ドル(年間約174万円、1カナダドル=86円のとき)
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大学への申込料150ドル、5月~8月も大学に滞在する場合は別途2000~3000ドルが寮費として必要になります。なお、学期ごとに支払う一般の大学と異なり、年間の授業料と学生寮費の預け金として、9月入学であれば、8月1日までに15,000ドルを一括で前払いする必要があります。詳しい費用は、CMUの留学生のための案内ページを参考にしてください。

正規学部入学には、基本、高校卒業と大学が指定する英語テストの成績が必要になります。学部によって異なることがありますので、詳細は大学または留学生課に確認してください。

代表的な英語テストで必要なスコアや資格は下記のとおりです(いずれか一つで可):

・TOEFL iBTのスコアが80以上(各セクションのスコアが19以上であること)

・IELTS (Academic) のスコアが6.5以上(各セクションのスコアが6.0以上であること)

・マニトバ大学で提供されているAEPUCEを規定の成績で終了すること

カナディアン・メノナイト大学のキャンパスを映した動画↓

 

★MEMORIAL UNIVERSITY OF NEWFOUNDLAND(ニューファンドランド・メモリアル大学)

ニューファンドランド・メモリアル大学は、ニューファンドランド&ラブラドール州の州都セント・ジョンズにある大学です。大西洋側の州の中では、最も規模が大きな大学です。18000人ほどの学生が学んでおり、その内2700人ほどが留学生です(2018年)。

メモリアル大学とも呼ばれており、第一次世界大戦で戦死したニューファンドランドの人たちのために、戦没者追悼記念として建てられた大学です。

現在は、留学生もたくさん学んでおり、その割合は全学生の15%になります。複数の日本の大学とも提携していて、日本からの交換留学生も来ています。

メインキャンパスのあるセント・ジョンズは、カナダの最も東にある都市です。地図で見ると北米の上辺りで、大陸から東に飛び出たような最果ての島という感じですが、カナダでは非常に歴史が古いところです。人口が10万人弱、近隣を含めたメトロポリタン地区としては22万人ほどになります。

経営学、人文社会学、教育学、工学、人動力学・リクリエーション学、人文・社会科学、医学、音楽学、看護学、科学、薬学部、ソーシャルワーク学といった主要学部を中心に、100以上のコースが提供されています。大西洋に面している土地柄、海洋調査や研究が盛んで、その分野で評価が高いです。

留学生の1年間(2学期)の授業料は、11,460カナダドルです(2018-2019)。1カナダドルを86円とすると、985,560円です。

メモリアル大学に通うために必要な費用(2学期分)は以下のとおりです(2018-2019年度)。

学費(2学期分):11,460ドル

学生寮費:9,084ドル(二人部屋、週5日の食事プラン付の例)

教科書代:1500ドル

施設利用料・学生活動費等:843ドル

保険:414ドル
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合計:23,301ドル(約200万円、1カナドル=86円のとき)
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メモリアル大学の正規学部入学には、基本、高校卒業と大学が指定する英語テストの成績が必要になります。高い英語力求められる学部によっては基準が異なるため、詳細は大学または留学生課に確認してください。

代表的な英語テストで必要なスコアは下記のとおりです(いずれか一つで可):

・TOEFL iBTのスコアが79以上(リーディングとライティングのスコアが20以上、リスニングとスピーキングのスコアが17以上であること)

・IELTS (Academic) のスコアが6.5以上(リーディングとライティングセクションのスコアが6.0以上であること)

メモリアル大学には大学附属の語学コースがあります。上記のスコアに満たないときは語学コースで学ぶことができます。語学コースは、Intensive English Program(IEP)とIntensive Bridge Program(IBP)があります。

IEPは通常の集中語学コースで、ビギナーからアドバンスの学生を対象にしています。1年に3学期あり、学費は1学期3500ドルですが、リクリエーション費や学生サービス費、保険などを加えると約4000ドル/1学期(2018年)になります。

IBPは大学へ入るためのブリッジ・プログラムとなり、大学入学の英語基準に少し足りなくて、条件付きで入学した学生が選択するコースになっています。学費と諸経費を加えて、1学期3500ドルくらいになります。

メモリアル大学を紹介した動画。大学キャンパスをはじめセント・ジョンズの町並みがきれいに映されています↓ 

メモリアル大学の雪景色も見ておいたほうがよいでしょう↓ 留学生によってはこの寒さが一番のネックになるかもしれません。

安さだけを求めないカナダ留学を考えたいけど・・・

こちらではカナダでも特に安い授業料で通える大学を紹介しましたが、カナダ留学に少し期待が持てたでしょうか。

欲を言えば、もう少し金額に余裕をもたせれば、もっとたくさんの大学が見つかるでしょう。

留学生にとっては悩ましいところですが、年間であと20~30万円プラスで出せば、もっといい大学に行けるといったジレンマが生じることがあります。

アメリカの大学も同様ですが、カナダの大学の学費も上昇傾向が続いており、どこまで上がるのだろうと思わずにはいられません。

カナダやアメリカでは学費を含めた物価上昇がありますが、実は給与も上がっていて、ここ20年あまり経済が停滞して賃金がなかなか上がらない日本とは異なる事情があります。

また、中国からの留学生が減らない限りは、留学生に対する大学側の強気な値上げは続くのかもしれません。

カナダとアメリカの大学を比べたとき、まだカナダの方が安いというケースは多々ありますが、アメリカ留学でも地方大学を選べばコストを下げられることがあります。

学費ばかりに目が行きがちですが、生活費という意味では、物資の流通が豊富で商売競争の激しいアメリカの方が安いことがあります。

こちらのサイトでは何度かお伝えしていますが、日本ではアメリカの方がカナダより断然知名度や認知度が高く、アメリカの大学を出た方が日本での就職・独立開業・個人活動などで有利に働くことがあります。

アジア人の流入が今まで少なかった内陸では、どうしてもアジア系の留学生は目立ってしまい、偏見や先入観などで現地の人から色眼鏡で見られてしまうことがあります。謂れなき差別を体験する機会も多くなるかもしれません。

将来はカナダに住みたい、または、 カナダを含む英語圏で働きたいといった計画があれば別ですが、カナダの学費が安いといった情報だけに囚われないで、本来、自分の学びたいこと、将来の夢や仕事などをじっくり考えて留学先を検討してみてください。

★大学の内容や費用等は執筆時のもので、以後、変更になる場合があります。特に学費については毎年のように変更がありますので、最新情報は各大学のホームページにて入手してください。

★大学の学期制にもよりますが、3~4ヶ月程度は夏休みなどで大学に通わない期間があります。上記でご案内した学費・寮費等には、大学が休みの間に関する滞在費は含まれていません。大学が休みの間は、日本に帰国したりバックパッカーとしてカナダやアメリカを旅をする学生もいます。そういった休みの期間の過ごし方や出費も考えておいてください。

カナダの大学
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