サイモンフレーザー大学(Simon Fraser University)は、ブリティッシュコロンビア州バーナビー市(メトロバンクーバー)にメインキャンパスがある大学です。バンクーバーやサリーにもキャンパスがあります。1965年創立という比較的新しい大学ですが、その進化のスピードが早く、カナダで評価の高い大学です。
サイモンフレーザー大学の基本情報
サイモンフレーザー大学は、1965年創立という比較的新しい大学ですが、革新的な教育システムで成長しており、カナダでの知名度は高いです。学生数は約30,000人、大学院生が5,000人ほどの中規模な大学です(2011年統計)。
カナダでは、留学生の割合が非常に多い大学としても知られており、20%近くの学生が留学生です。
バーナビー・マウンテンという小高い丘のような立地にあり、街の喧騒から離れたところにあります。大学の建物は美しく、映画やドラマのシーンなどでもよく使用されています。
Times Higher Education(2013)の創立50年未満の大学を扱った世界ランキングでは26位にランクしています。同ランキングで、ビクトリア大学は20位、カルガリー大学は23位でした。筑波大学は49位にランクインしていました。
カナダの雑誌Maclean’sによる大学ランキングでは、学士+修士過程がある総合大学として1位の常連です。近年では 2008~2013 年(連続)と2015年に1位になっています。
※Maclean’sの大学ランキングは大きく分けて3つあり、簡潔に別けると(1)学士過程が中心の大学、(2)学士+修士過程がある大学、(3)学士+修士+博士過程のある大学といった枠組みでランキングされています。サイモンフレイザー大学は(2)学士+修士が優れたComprehensive Universityの部門でのランキング評価となります。トロント大学やブリティッシュコロンビア大学など世界的なランキングでも評価を得ている大学は、(3)のMedical Doctoralの部門のランキングに入ります。
サイモンフレーザー大学(SFU)は、日本では余り知られていない大学でしょう。バンクーバーとその周辺でいえば、歴史があって規模が大きいブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)が有名です。
しかし、サイモンフレーザー大学は、カナダ国内では優秀な大学と評価されています。アジア系留学生には特に人気が高く、知っている人は知っている優秀な大学といえるでしょう。
大学の施設は近代的でおしゃれ、そして、カナダやアメリカの名門大学の博士号を持つ教授がたくさんいてレベルの高い教育が受けられるとなれば人気があるのも当然でしょう。
サイモンフレーザー大学は、100以上の学部コースと45ほどの大学院コースが用意されています。
★文系:経済学、英語、フランス語、性差学、老年・加齢学、歴史、人文科学、言語学、国際学、哲学、政治学、心理学、犯罪科学、社会政策学、都市学、コミニケーション学、政治経済学、教育学、健康科学など。
★応用科学:コンピューター科学、工学、メカトロニクスエンジニア学など。
★ビジネス:会計学、革新・起業学、金融学、国際ビジネス学、マーケティング学、経営情報システム学など。
★アート&テクノロジー:現代美術学(芸術・演劇、ダンス、デザイン、映画、音楽)、インタラクティブアート工学など。
★環境:生物学、考古学、環境科学、地理学、グローバル環境システム学、資源環境管理学など。
★理学系:数学、化学、保険数理学、地学、環境化学、環境毒性学、化学物理学、健康科学、海洋科学など
大学院レベルでは、応用科学、ビジネス、コミュニケーション・アート・テクノロジー、教育、環境、健康科学、理学などがあります。修士および博士コースまで揃っている学部は、施設や教授陣が揃っていると考えてよいでしょう。
サイモンフレーザー大学は、バーナービー市の他にバンクーバーとサリー市にもキャンパスがあります。
サイモンフレーザー大学(サリー・キャンパス)の図書館を紹介した動画。IT企業のようです。
語学コースについて
サイモンフレーザー大学には、ENGLISH LANGUAGE AND CULTURE (ELC)という英語集中コースがあります。
4週間,8週間,16週間などのコースがあります。通常、1週間(月~金曜日)で24~27時間の集中授業を行います。基礎から上級まで7レベルあります。
語学コース(ELC)を終了した後は、フレイザー・インターナショナル・カレッジ(FIC)で学んでサイモンフレーザー大学の2年次に編入する制度があります。*大学編入するには、FICのコースを定められた成績で終了することが求められます。
フレイザー・インターナショナル・カレッジは、一般のコミュニティ・カレッジとは違って、サイモンフレーザー大学専用の進学校(大学編入コース)となっています。教室はサイモンフレイザー大学内にあり、同大学の学生と同じように施設を使うこともできます。
FICは民間の会社が運営していますが、その内容は大学が監修しています。FICによる大学編入プログラムにより、サイモンフレーザー大学へ2年次の編入を円滑に行えるようになっているようです。
FICに限らず、ブリティッシュ・コロンビア州にあるコミカレの大学編入コースからもBCCATの単位移行の取り決めがあれば編入は可能です。
なお、 大学入学に必要な英語スコアは、IELTSは6.5以上(with no part less than 6.0)、TOEFL IBT 88 以上(with a minimum score of 20 in each of the four components)となっています(2015年次)。
授業料と滞在費について
サイモンフレーザー大学のホームページより、大学に通うために必要な予算をご案内します。それぞれの項目は1学期の費用です(保険除く)。5科目取った場合のケースです。
学部や選択科目、住む所や個人の生活費等によって費用は上下します。細かい金額は大学のホームページにて確認してください。宿泊費と食費は計上されていますが、その他の生活費(余暇、衣類等)や交通費などは計上されていません。
授業料:$9,824 (5科目選択)
学生諸会費:$350
教科書・書籍費:$1,020
宿泊費:$2,768
学生協会健康保険・歯科保険:$198/年間
BC州保険:$277/年間
食費:$1,650
保険を除き(保険は年払いのため)、それぞれの費用は学期ごとの費用になります。1年間(9月~4月)に2学期通うとすると上記費用の2倍になり、合計で$31,699となります。
1カナダドル=90円として試算すると約285万円~が必要になります。なお、授業料は1年生の時点での金額となり、学年が上がると1単位につき$70ほど上昇します。※2014-2015年度の資料を使用。
バーナビー市について
サイモンフレーザー大学(メインキャンパス)のあるバーナビー市は、バンクーバーの東側にあります。
メトロバンクーバーと呼ばれる行政地区の一角で、ノースバンクーバー、リッチモンドなどとバンクーバーを囲むような位置にあります。
移民の非常に多い地域で、ある統計によると50%以上の住民の第一言語は英語ではないそうです。バンクーバー周辺各地でも同様ですが、近年は中華系の移民が非常に多いです。
バーナビー市は日本には余り馴染みのない地名ですが、韓国系住民らがグレンデール市のように慰安婦像の設置をしようとした問題で日本ではちょっとした話題になりました(2015年4月)。バーナビー市のコーリガン市長は、地元日系住民からの反対で、韓国住民の提案を保留することになりました。
人種的な問題が生じるとその地域に行くことはためらってしまうかもしれませんが、前出の通り、カナダ人は日本に対して中立の立場であると思います。ただし、カナダではアジアからの移民が非常に多く、人口の均衡が崩れればグレンデール市のように一部の移民団体等から圧力がかかることもあるかもしれません。
※コース概要、スケジュールや費用等は執筆時のもので、以後、変更になる場合があります。最新情報は、大学のホームページにてご確認ください。